サルハマシギ2 Curlew Sandpiper / Calidris ferruginea

徒然鳥日記
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first summer plumage Curlew Sandpiper



Nさんより父を通じて第一回夏羽と思われるサルハマシギがいると連絡をいただきこの個体を
観察することができました。Nさま本当に貴重な情報いただきありがとうございました。

私は5月14日、18日、22日と観察することができました。(この個体は5月9日に確認され、26日が終認と思われます。)

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①5月14日撮影 冬羽を多く残し、通常第一回夏羽の個体の多くはこのような羽衣なのでこの位の換羽で終わるのではないだろうかとおもっていたのですが。

②5月18日撮影  Nさんより16日に撮影された画像を拝見させていただくと急激に換羽が進み、これは面白いと18日撮影しに行きました。わずか4日でこの急激な換羽の進行には正直驚きました。

③5月22日撮影  さらに4日後、換羽の進行が進んでいます。腹にやや白い部分が残っていますが、それ以外は綺麗な成鳥のような夏羽に換羽しました。







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①5月14日撮影
②5月18日撮影
③5月22日撮影

観察したすべての日で、翼を広げた画像が撮影できました。
初列風切の外側P8は新羽根でそれ以外は磨耗した幼羽根です。P10などは特に磨耗がひどいですね。
初列雨覆の外側1枚も新羽根です。残りは幼羽根。

同時期の成鳥では冬羽の換羽で完全換羽していまので、5月のこの時期にはこれほど磨耗しません。
しかもこの時期に外側のP8が換羽しているという特異な換羽は成鳥ではしません。

この個体が去年生まれという証拠は翼を広げた初列風切の磨耗状態、換羽のパターンでわかります!!
例えば、いきなり③のような羽衣を観察したら、だれもが成鳥と思うのではないでしょうか
しかし、翼を広げた画像を撮影できれれば(初列風切の状態がわかれば)、もし磨耗した幼羽根とわかれば
去年生まれの第一回夏羽の個体だとわかります。

春の年齢識別の鍵はやはり、この翼を広げた画像にあります!
今後翼を広げた画像は年齢識別の重要なポイントとなってくると思います。





14th May 2009
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2009年5月14日撮影

5月にはいって、このような、冬羽を多く残すサルハマシギの画像も日本では非常に珍しい。
私はこの個体をみてすぐに、去年生まれだなと思いました。
同時に翼を広げた画像を撮影し証拠を得られればと思いました。

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2009年5月14日撮影
これが、去年生まれ(第一回夏羽)ということがわかる証拠画像です。
P8以外の初列風切が非常に磨耗しています。特にP10は先端がかなり磨耗しているのが
分かると思います。幼羽根は新羽根と比べて、茶褐色みが強い。新羽根は黒っぽい。

以前に私が発見?したのだがこの個体でも、連動して外側の初列雨覆の一枚は新羽根に
換羽している。先端の羽縁が白く磨耗が少ない羽根、。(残りの初列雨覆は幼羽根)
初列雨覆の磨耗具合の差、新羽根と旧羽根(幼羽根)のコントラストがわかれば
初列雨覆からも年齢識別のてがかりなるとおもわれます!

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2009年5月14日撮影



18th May 2009

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2009年5月22日撮影

その後、16日にNさんが撮影され急激に換羽の進行が進みだしたということで私も18日に再度観察しにいきました。
正直このような急激な換羽には驚きました非常に面白い個体です。

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2009年5月22日撮影
 翼を広げた画像。初列風切の磨耗状態、初列風切のP8が新羽根、初列雨覆の1枚だけ新羽根と
翼のパターンが同じこと、当初から夏羽に換羽している肩羽の3枚が、同じことから同一個体と
分かります。






22th May 2009


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2009年5月22日撮影
さらに4日後、このように換羽が進んだ。こうなると成鳥とかわらないので、静止時ではわからない。

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2009年5月22日撮影
 翼を広げたこの画像で、やはり初列風切のパターンが同じP8だけ新羽根で残りは幼羽根ということがわかり、同一個体であり、第一回夏羽ということがわかる。


日本の写真図鑑ではサルハマシギの第一回夏羽の画像は見たことがないので非常に貴重な画像です!!!



まとめ
一般的に一年目の個体は越冬地(オーストラリアなど)に留まるといわれていますが、この個体のように
一部北上している個体がいるという証拠のひとつとなりました。

サルハマシギの第一回夏羽の個体の多くは、冬羽を多く残したり、部分的に夏羽に換羽する程度ですが
この個体は成鳥夏羽とかわらないくらい換羽しました。しかもごく短期間で。
ごく少数はこのような成鳥とかわなないくらい夏羽に換羽する個体も
いるようですが、それを裏付ける貴重な記録となりました。

第一回夏羽のサルハマシギの初列風切の換羽はオーストラリアで留まっている個体の多くは外側の
初列風切を換羽することがしられています。また少数はすべての初列風切を換羽する個体もいます。
今回の個体はP8だけ換羽しており、その後体羽の換羽の進行が急激にすすみましたが、初列風切の換羽は中断しており通常その後P9、P10と初列風切の換羽も進行するはずですが結局中断したままでした。
なぜ初列風切の換羽が中断したのか?今後換羽するのか興味深いところです。









海外の研究者と情報交換

今回この個体に関して海外の研究者、イギリスのRichard Chandler氏とオーストラリアのDanny Rogers氏にメールを送った。(いずれもシギチの本を出版しているエキスパート)

Richard氏の疑問はなぜこの個体はこんなに短期間で夏羽に換羽したのか?ということ
オーストラリアに留まっている1年目の個体はこれほど夏羽には換羽せず、部分的にしか夏羽に換羽しないのになぜ?

オーストラリアのDanny氏は
オーストラリアで留まっている1年目の個体の多くは2月から4月の終わりには外側の初列風切はすでに換羽している。なぜこの個体は中断あるいわ停止しているのか?

オーストラリアで留まっている1年目の個体は夏羽の換羽でもこのような成鳥と同じような広範囲の換羽はしない、一般的に冬羽のようなままの個体や部分的に夏羽に換羽する程度で冬羽多く残している。

ごく短期間でこのような急激な換羽に両氏ともやはり驚かれている。

今回の観察は、イギリスのBritish Birds 誌や、Wader Study Groupなどの機関紙に短報で出す価値がある
観察だというコメントをいただきました!私は記事を書くほどの英語力はないのでRichard氏に是非書いてほしいと頼みましたがどうなるかはわかりません~笑


また思いだしたのが
「 The shorebird Guide」 2006 Michael O'breien, Richard Crossley, Kevin Karlsonの解説で
 「some stay on the wintering grounds, while others migrate partway or all the way to the breeding grounds.

As a rule, the fathers north a bird migrates, the more adult like its plumage will be because of increased sexual hormone levels.」

北上する個体は性ホルモンがのレベルが増加するので成鳥のような広範囲の換羽をする。

という記載におおむね賛同しています。しかし、それも個体差があるようで私の観察では、トウネン、オオソリハシシギ、オバシギなどは日本で観察した1Sはそれほど換羽せず冬羽のままのような個体もいました。

まだまだこういったことはなぞが多く興味深いところです。

また北上している1Sの観察は日本は最適な観察地です。(個体数は少ないと思われますが)越冬地ではわからない換羽状態が中継地である日本でどのような状態であるのかわかります。

以前から言っているように鳥は世界規模で情報交換して調べる時期にきていると思います。またそれがわかれば日本という国の重要さが改めて再認識できます。日本で観察していることが、実は海外の人にとっては
とても知りたい貴重な情報であることが多分にあるのです。
世界規模でみる視点もこれからの時代必要だと思います。
by shorebirds-waders | 2009-06-25 23:26 | サルハマシギ Curlew  | Comments(5)
Commented by ozok at 2009-06-27 08:39 x
興味深く拝見させていただきました。今季はサルハマの飛来は多かったのですが中にはこの個体のように第一回冬羽~第一回夏羽のものが
見受けられましたが自分自身の想像の世界の中で認識していました。
初列の換羽で判断できることの重要性あらためて思い知りました。
現在トウネンが20+で滞在していますが換羽状況も個体差があり
管理人さんにとっては非常に興味深いターゲットでしょうね。
Commented by shorebirds-waders at 2009-06-27 22:37
OZOKさん
こんばんは!
第一回夏羽の個体は換羽状態が非常に個体差が多いのですが、以前から述べているように開翼写真が撮影できれば、すべてではありませんが、より年齢識別の精度はあがります!
羽衣も冬羽を多くの残す個体、部分的に夏羽に換羽している個体
一見すると成鳥と変わらないくらい換羽する個体(このタイプはシギチのすべてで当てはまるというわけではないようですが、今後まだまだ調査が必要だと思います)

トウネンは日本の宝ですから、非常に興味があります!!
沖縄は本当に素敵なところですね!本州ではなかなか1Sのトウネンは
見れませんから~泣
Commented by kenzou at 2009-06-28 18:02 x
素晴らしい発見ですね.
全ての画像と全文を読みきるのに,結構な時間を費やしました.
興味深い話題満載ですが,ごく短期間に急激に夏羽に換羽したこの個体,性ホルモンの分泌レベルが,こうまで個体差がある特異な例として,是非ともBritish Birds 誌やWader Study Groupなどの機関紙に短報で出してほしいですね.せめて山階でも.
Commented by shorebirds-waders at 2009-07-01 08:03
kenzouさん

Richard ととDannyの返事では本当にB.B.で記事になりそうです~!!
もし記事になればまたご紹介します!!
Commented at 2009-10-08 13:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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