カテゴリ:ミズカキチドリ Semipalmated( 1 )

ミズカキチドリ Semipalmated Plover Charadrius semipalmatus

徒然鳥日記 My another site
日記みたいなブログをつくりましたよろしければご覧ください!







私が書いた、ミズカキチドリの短報、「日本におけるミズカキチドリ Charadrius Semipalmatusの初記録」  山階鳥類学雑誌第39巻1号(No.177)平成19年(2007)9月
に掲載されています。詳細はそちらをご覧ください。



「The First Record of the semipalmated Plover Charadrius semipalmatus in Japan」 Hashimoto,N Journal of the Yamashina Institute for Ornithology Vol.39 No.1 (No.117) 30 September 2007

I observed a Semipalmated Plover on 17th November 2006.
This is th first known record of the Semipalmeted Plover in Japan.



Yamashina Institute for Ornithology




2006年(平成18年)
11月17日初認〇
11月21日×
11月28日〇
11月30日×
12月5日〇
12月21日〇
2007年(平成19年)
3月14日×
3月19日×
4月6日〇
4月24日〇


c0071489_1902647.jpg

same individual
1, 17 November 2006
2, 28 November 2006
3, 5 December 2006
4, 21 December 2006
5, 6 April 2007
6,24 APril 2007






17 November 2006

c0071489_953475.jpg

ミズカキチドリ Charadrius semipalmatus
2006年11月17日




(以前から可能性がある観察例はあったみたいですが、決定的な証拠写真や観察報告などがないため日本の鳥には認められていませんでした。)
ハジロコチドリに非常に酷似しており、ミズカキチドリであるのか、ハジロコチドリであるのかこの両種の識別が一番のポイントでした。

c0071489_841470.jpg
c0071489_842742.jpg




2006年11月17日は田んぼ巡りで淡水性のシギチを観察していました。
夕方4時頃、日暮れ前にコチドリの群れを発見しました。一羽、一羽チェックしていくと体が隠れ顔だけ見えているチドリがいました。嘴が太く一瞬メダイチドリかとおもいました。
休墾田に珍しいな~と思っていると体全体が見えました。メダイチドリではない=!
頸が短く頭が大きくズングリした体型、短く太い嘴から、コチドリではないこともわかました。
となるとハジロコチドリだと思いました。ハジロコチドリに非常によく似たミズカキチドリがアメリカ大陸にいることは知っていましたが、まさかそんなことはないだろうと思いながらも家に帰ってから調べてみようと思いました。夕暮れでシャッタースピードが上がらず、とりあえず記録写真だけでもと思いISO(感度)を400にあげ画像が荒れるのは覚悟で撮影しました。
普段お世話になっているオーシャンさんにも携帯電話で連絡して、見にきてていただきました。
もう辺りは暗くなり観察はそれ以上不可能となりました。
そして家に帰り画像を整理し資料を参照していると、口角の上が白く、外側ですが水掻き大きく、嘴が短く太い、もしかして日本未記録のミズカキチドリではないかと思い一人でパソコンの画面をみながら考えていました。見れば見るほどミズカキチドリに見えてきました。オーシャンさんにもすぐに「ミズカキチドリかもわかりませんとご連絡しました。」私は次の日から仕事となるためその後の観察をお願いしました。日本初記録となると誰もが納得できる
証拠がなければ参考記録で終わってしまうと思いました。
この時点ですぐ以前から交流のあるアメリカのDennis Paulson 氏 (Shore birds of North Americaの著者)、イギリスのRichard J. Chandler 氏(North Atlamtic Shorebirds の著者)、アメリカの猛烈バーダーのAngus Wilson 氏(サイト Ocean Wanderes ) 以上3氏の方にメールで画像を送りました。
すぐに返事がきました。3氏ともミズカキチドリと思われるとのこと、ただ内側のミズカキ(WEB)が写っていないことを惜しまれました。やはり内側のミズカキを観察撮影しないといけないと強く思いました。
知人の方にミズカキチドリかもわかりませんとご連絡し、次の日見に行っていただけることになりました。ただどうも内側にミズカキは無いようだということになりハジロコチドリの変異個体ではないかということになりました。(天気が悪く観察条件がよくなかったため、泥だらけで蹼の有無がよくわかりませんでした。)
ただバーダーの悲しい性、私は自分の目で内側のミズカキの有無を確認していないので
もう一度観察しなければと思いました。
次の休み21日に再度いきました。ただこの日はみつかりませんでした。
そして28日再度行きました。朝から回ってやはりいない、夕方になりもう最後ここをみていなかったら帰ろうと思い、最後の場所(一番初めに出合った場所)に向かいました。すると遠くの方にいました!「あーおった!おった!」もう出会えないかと思っていたので非常に嬉しかったです!そしてなんとか近くで、まず50倍の接眼レンズをつけた望遠鏡で内側のミズカキを観察、「ミズカキあるやーん!!!」、この時点でミズカキチドリと確信しました。後は内側のミズカキの証拠写真です!ただ日本初記録だーと思うと手が震え、何度も落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせました。ミズカキの写真を撮り損ねたら
参考記録に終わってしまう、と焦りました。とにかく連射して一枚でもいいからミズカキが写れと撮影しました。するとミズカキチドリはこっちを明らかに意識しつつもドンドン近づいてきます。
まるで、「お前が見つけたんやから、ちゃんと蹼撮れよ~」といわれているかのように。
どんどん近づいてくるので、こちらが焦りました。
何とか撮影に成功。帰りの車は一人ハイテンションでした。笑

家に帰るとすぐ画像を確認し、きちんと写っているとほっとしました。
念のため先の外国の3氏、と日本の山階鳥類研究所の茂田さんにメールで画像を送り、間違いないとのことでした。Richard Chandler 氏からは「よくやったーおめでとう」と嬉しいコメントをいただきました。笑


その後はせっかく観察撮影にも成功したので、しかるべき機関に報告レポートを書かなければと思いました。観察しても査読者がいる機関誌に論文として報告しておかないと今後改定される
日本鳥学会の日本鳥類目録に掲載されない(日本の鳥として認めてもらえない)からです。
私が知るところでは3誌あり、日本鳥学会の日本鳥学会誌、山階鳥類研究所の山階鳥類学雑誌、日本野鳥の会のSTRIX(ただしその後このSTRIXは休刊となってしまった)この3誌のいずれかに論文をかかなければならない。結局山階鳥類学雑誌に掲載していただくこととなりました。
その後この論文と格闘することとなり未熟な私としては文献をよんだり何回も書き直したりとと予想以上の大変な作業となりました。

その後もミズカキチドリは12月以降も滞在していましたが地元のかたでもなかなか見つけられないくらい広範囲に移動していたようです。私も3月に2回行きましたが見つけられませんでした。冬羽を見れたのでそろそろ夏羽に換羽している姿を夢みていました。
そして4月にはいり6日再度訪れました。この日もなかなか見つけられず、もういないかなと思ったところ夕方になんとか見つけることができました。しかも頭部や胸帯も一部夏羽に換羽しており嬉しくなりました。これからの換羽が楽しみだと思っていたのですが、なかなか休みがなくしばらく行けませんでした。そして4月24日観察できれば夏羽に換羽しているはずだと期待しながら探しました。この日もなかなか見つからず、夕方日暮れ間近に発見!綺麗な夏羽に換羽しやっぱり夏羽にもミズカキチドリの特徴がでており、初めて夏羽にも心踊りました。ただ発見時間が遅かったため写真はシャッタースピードが遅く綺麗に撮れません。動画に切り替えて撮影し帰りました。私としては5月に入ってもいるはずだと思っていたのですが、その後4月30日に確認されていますが、5月の連休にもいたという噂を聞きましたが、真相はわかりません。
どなたか5月に入り観察されていたら教えてください。




内側の蹼(みずかき)は、かなり小さく、指をすぼめているとわかりません。指をぐっと開けるとなんとかわかる程度です。泥がつくと指なのかミズカキなのか境界がわかりません。かなり幸運に恵まれました。後デジスコがなければ不可能だったと思います。近年の光学機器の恩恵をうけていることは明らかです。
私が使っているKOWAのTSN824は暗い時でも大口径なので明るく、フローライトレンズなので描写もシャープで、おまけにデジスコでも威力を発揮します!

ご協力をいただきました皆様ありがとうございました。
特にオーシャンさんならびに地元の方々にはお世話になりました。


注意
ミズカキチドリとハジロコチドリは非常に酷似しています。
一番重要な識別点は内側の蹼(みずかき)の有無になると思います。
最終的な識別は他の識別点と併せて総合的に判断しなければなりません。



内側(中趾と内趾の間)小さい蹼の有無。
口角の特徴
目の回りの囲眼輪Orbiral Ring の黄色が目立つか目立たないか。
嘴の長さ太さ
鳴き声
翼帯の長さ、太さ


上記を総合的に判断して識別しなければなりません。

















28 November 2006


c0071489_107967.jpg

ミズカキチドリ
2006年11月28日

28日この画像で内側のミズカキがよくわかると思います。画像はいまいちですが。
確信が持てた画像です。



c0071489_10115321.jpg

ミズカキチドリ
2006年11月28日
この角度だと内側のミズカキは少しわかりにくい。本当に小さいくわかりずらいのです。







c0071489_1155358.jpg

ミズカキチドリ
2006年11月28日


c0071489_1155153.jpg

ミズカキチドリ
2006年11月28日


c0071489_2333240.jpg
c0071489_23332497.jpg
c0071489_23335879.jpg
c0071489_23341592.jpg

















5 December 2006

c0071489_8395563.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日


c0071489_840830.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

上の画像を拡大
左足
内側の小さなミズカキがわかります。




c0071489_10213278.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日


c0071489_1023133.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

上の画像の指の部分をトリミング。
左足の内側のミズカキがはっきりわかります!







c0071489_1120223.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日



c0071489_11255249.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

上の画像の脚のアップ
今度は右脚の内側のミズカキの確認。はっきりわかります!















c0071489_8272651.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日



c0071489_10552158.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日



ミズカキチドリ
2006年12月5日





c0071489_12504815.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

c0071489_1251017.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日


c0071489_1251977.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

後頸の白い帯は角度や、このように頸を伸ばすと広くなる。
傾向としてはミズカキチドリの方が後頸の白い帯は狭いらしい。
ただし識別点にするにはかなり難しいと思います。客観的な判断がしにくい。



c0071489_0555265.jpg
c0071489_056955.jpg






c0071489_9303178.jpg

ミズカキチドリ
2006年12月5日

・過眼線が口角に達しておらず、口角の上が白い。

・orbital ring (目の周りの黄色の輪)がミズカキドリでは全ての羽衣で細いですが目立つ、
ハジロコチドリでは幼羽や冬羽ではミズカキチドリより目立たない傾向にあります。















21 December 2006
c0071489_8203662.jpg


c0071489_124643.jpg










6 April 2007
c0071489_1152362.jpg

2007年4月6日
部分的に夏羽に換羽しだしてきている。こういった羽衣も非常に面白い。
日本初記録の個体で換羽の変遷が観察できるなんてなんて贅沢なんだろう。


c0071489_1154124.jpg
c0071489_116568.jpg
c0071489_1163999.jpg
c0071489_117516.jpg
c0071489_1172671.jpg
c0071489_1174839.jpg
c0071489_118715.jpg








24 April 2007
c0071489_1215698.jpg

2007年4月24日
すっかり夏羽に換羽したミズカキチドリ夏羽を見れやっぱり感動し、感慨ひとしおでした。


c0071489_1221273.jpg
c0071489_1222789.jpg
c0071489_1224520.jpg
c0071489_123375.jpg
c0071489_123382.jpg












6 April 2007 vs 24 April 2007


c0071489_2163147.jpg



c0071489_2353152.jpg

4月6日に観察し、24日にもう一度観察するとすっかり夏羽に換羽していて感動しました!
この短期間で換羽することがわかりました。







17 November 2006 vs 24 April 2007

c0071489_920494.jpg


冬羽から夏羽の変化がわかります。





c0071489_22534661.jpg



ミズカキチドリの幼鳥では過眼線が口角に達せず、口角の上が白い傾向にあります。(成鳥でも多くの個体で同じ傾向にあるようです。)
ハジロコチドリでは過眼線が口角まで接している。
ただ換羽中の個体や過眼線がぼやけた個体も稀にいますので注意が必要です。
 
(あくまでも過眼線の違いを書きたかったので、他の嘴の形や頭の形などでたらめですからきにしないでください  汗)


c0071489_22535244.jpg



ミズカキチドリというだけあって一応全てのユビの間にミズカキがあります。ただ内側(内趾と中趾の)間のミズカキは外側のミズカキよりも小さいです。
外側のミズカキは両種ともあるのですが、ミズカキチドリのほうがやや大きいようです。
ハジロコチドリでは外側にしかミズカキがありません。要するに内側のミズカキの有無で識別ができます。内側にミズカキがあればミズカキチドリです。ただし内側のミズカキは非常に小さいため角度によったり、泥がついたり、観察条件が悪いとよくわかりません。




Dennis Paulson氏から

メールでいただいたのですが、ご自身の著書で誤りがありとのことです。
著書「 Shorebirds of North America 」2005
のP60 Common Ringed Plover (ハジロコチドリ)
の下から3行目から2行目に、
「Common Ringed has less webbing between toes , none between outer two and very little between inner two. 」

↓  正しくは
「none between inner two and very little between outer two.」
ハジロコチドリの場合内側の蹼はなく、外側にとても小さな蹼があるということです。


あと大変面白い情報をいただきました。
Paulson 氏は1994年ロシアのチュコト半島でミズカキチドリの夏羽を発見したとのこと
おそらくこれがアジアでのはじめての記録ではないかとおしゃっています。
ただおそらくその個体はアメリカにわたっているだろうけどとのことです。

分布がロシアにまできているとなるともっと分布を広げてくると今後日本やアジアの渡来が増えるのではないかと期待されます。面白いですぅね。(私の勝手な期待です。笑)


ミズカキチドリは海外では記録されているのか、海外の研究者に聞いてみました。
オーストラリアでは記録はないそうです。
お隣のニュージーランドでは以前観察された記録(その当時ハジロコチドリとなっていた記録)を再度検討した結果、ミズカキチドリと最近きちんと記録になったそうです。









SPECIAL THANKS:Angus Wilson 特別掲載
今回アメリカの猛烈バーダーのAngus Wilson 氏(サイト Ocean Wanderes ) より日本のシギチファンのためにと画像提供を受けましたので
掲載します!

c0071489_12194881.jpg

成鳥夏羽

c0071489_1220879.jpg

幼鳥


c0071489_12201614.jpg

第一回冬羽 ?
小雨覆に幼羽が残っているように見えるため。

c0071489_12202883.jpg

第一回冬羽
雨覆が摩耗し幼羽の羽縁が擦り切れてきている。







ミズカキチドリ関連サイトです。







.Waders.org こちらのトップページのFantastic Photos from Japan をクリックするとなんとこのブログに飛ぶのです!ありがたや!
Semipalmated Ploverミズカキチドリの画像




.What Bird
Semipalmated Plover Voice
   ミズカキチドリの鳴き声が聞けます。繁殖期の声だと思われます。 


鳴き声については、その後(最近2008年年末)に 「DVD Guide to Waders」Paul Dohertyを入手し
その中で、ミズカキチドリの声が聞け、まさにこれだと思いました。観察時に聞いたあの声
そのままでした。
このDVD 非常に面白いです。ヨーロッパ、アジア、北アメリカのシギチ104種収録されています。DVD2枚セット
by shorebirds-waders | 2006-11-23 22:43 | ミズカキチドリ Semipalmated | Comments(0)