キリアイ 3 Broad-billed Sandpiper/ Limicola falcinellus sibirica

徒然鳥日記
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Special Thanks;Mr.Nobuo Shiraki

この画像は、白木信生さんにお借りいたしました。白木さん、貴重な画像ありがとうございました!



first summer Broad-billed Sandpiper
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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer

今年の春、大阪で話題になったキリアイ夏羽。
キリアイは春の記録は基本的に少なく、秋の幼鳥の記録が圧倒的に多い。
私も今回初めて夏羽を見る事ができ感動しました。(実はずっとみたかったのです。)

去年(2007年)はかなり幼鳥の数が多い年だったが、そんな年もごく稀にあるようです。

{野鳥ものがたり ー京阪神の水辺の鳥ー 坂根 干 著 1982年 たたら書房}
によると昭和28年には8月下旬から10月中旬にかけて8回、計102羽を観察している。
この年には61羽の群れを見た日もあった。 という記述がありました。(この本は分布の面白さを書いているので一読をお勧めします。)

この個体は成鳥ではなく第一回夏羽の個体です。(去年生まれです。)
上の画像からは一見成鳥夏羽のように見えます。成鳥と殆ど変わらないくらい夏羽に換羽していますが、下の翼を広げた画像をみると答えがわかります。


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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer

まず見るべきポイントは初列風切です。英語でprimary と言いますので、頭文字をとってPと
略して書いたリします。
初列風切をみると外側(体から遠い方の羽根)と内側の初列風切(体に近い羽根)
にコントラストがわかると思います。外側の羽根は色も黒く、羽根の先端も丸みをおび
摩耗が少なく綺麗。
反対に内側の初列風切は色も茶褐色みがあり羽根の先端も尖り気味で
摩耗しています。この内側の初列風切が摩耗した幼羽とわかります。次列風切は全て幼羽が残っています。初列雨覆も内側は幼羽が残っています。

幼羽が残っているということはこの個体が若いということがわかり、第一回夏羽の個体だとわかります。
成鳥では同じ時期このような外側の初列風切の換羽を行いません。繁殖後の換羽(夏羽から冬羽の換羽)で完全換羽して全身の羽根を一新しているので、この個体のように外側と内側のコントラストは同時期ではみられません。

幼羽根の特徴(傾向)
幼羽根は構造上やや弱く摩耗しやすい。
風切や尾羽は幅が狭く、先端が尖りぎみの傾向がる。(成鳥の羽根は丸みがある。)



ここで一度第一回夏羽の羽衣についてすこし整理したいと思います。

第一回夏羽の羽衣は非常に変化が大きく(variable)
例えば外見上(静止時)大きく分けると3タイプに分けることができると思っています。

1、殆ど冬羽のままのようなタイプ
2、部分的に一部夏羽に換羽するタイプ
3、外見上成鳥夏羽と変わらないくらい換羽しているタイプ (私自身の観察では、オオハシシギやコアオアシシギで観察経験があります。)

これらは種により個体により非常に変化が大きく同一種でもこのような3タイプ見られることもあります。
基本的に3タイプとも翼を広げた鮮明な画像がないと年齢識別が難しい場合が多いです。
今回のキリアイも翼を広げた画像がないと外見上成鳥夏羽としか判断できないと思います。
しかも今回の個体は外側の初列風切を換羽しているので静止時外側の初列風切は見えていますが、換羽しているのでまったくわからないのです。


幼鳥のその後の初列風切の換羽も整理したいと思います。
初列風切の換羽も3タイプに分けることがでます。

1.初列風切は換羽せず、幼羽を残していく。(多くの個体、種ではこのパターンが多く、残った摩耗した幼羽から年齢識別が可能)
2.一部の種、個体では初列風切を全て換羽する。この換羽では成鳥との識別が困難になります。
3.外側の初列風切を換羽するタイプ。この換羽をする種や個体がいます。(残った内側の初列風切は摩耗していくので外側と内側のコントラストで識別ができます。)

上記の初列風切の換羽は同一種でもこのような1のタイプ、2のタイプ3のタイプの換羽をする
ことがあります。

第一回夏羽の個体はいままで関心があまりもたれておらず、また一部のバンダーの方の領域?だったので日本では情報が極端にすくないです。記事も写真も図鑑には殆どでていません。海外の文献では文章で第一回夏羽の個体の特徴などでていますが、海外でも写真は皆無で殆どみたこtがありません。

外側の初列風切を換羽するという記載は
日本では茂田さんの記事「BIRDER誌」1991年10月号「形態と識別 メリケンキアシシギとキアシシギ」の記事中でみたことしかありません。


私の中ではこの↓ミユビシギの個体との出会いで、初列風切を意識してみるようになりました。
この野外観察から不思議に疑問に思ったのでした。野外観察から得るものはやはり大きいです。
当初このミユビシギを見たとき基本的な換羽は知っているつもりでしたから第二回冬羽までは
部分的に幼羽を残していくことはわかっていました。だからこのミユビシギを見たときも
明らかに内側の初列が摩耗していたのでこれは幼羽で1Sだと即座に思いました。
ただ外側を換羽するとは知りませんでした。そこからいろいろ調べると、師匠にもご教示いただき意外と多くの種で中には外側の初列を換羽するのがいると知りました、そこから雨覆の摩耗より初列風切を注目するようになりました。
当時の記事をみても「私にはヘラシギ見たのと同じくらい貴重な個体だ」と書いていますが
今思ってもこの個体との出会いから大きく変わったような気がします。年齢識別の奥深さ、どこに注目すればいいのかなどここで大きく道が開けたよう気がします。
ミユビシギSanderling 4



換羽の基本的なことはこちらで↓
このブログの主訴



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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer



日本の図鑑で第一回夏羽の詳細な記載がある図鑑類はありませんので下記を参照します。
いずれの文献も外側の初列風切は換羽し、内側の残った幼羽とのコントラストが見られると記載があります。
BWPには、インドネシアにおいては4~5枚の外側の初列風切を換羽するとあります。日本と同一亜種のL.f.sibiricaで東シベリアで繁殖する個体郡と推測されます。
今回のこの個体も5枚換羽していますね。



BTO says 「1S  Contrast of worn inner and fresh outer primaries.Most attain SP」

The Shorebird Guide says 「Between early December and April a variable number of outer primaries are replaced.」



references
・Handbook of the Birds of Europe, the Middle East, and North Africa: The Birds of the Western Palearctic volumeⅢ1983
(通称BWPと略して言われたりします)

・Handbook of Australian, New Zealand & Antarctic Birds volume 3 1996

・BTO GIUDE 17
Guide to the identification and ageing of Holarctic Waders 1977

・The Shorebird Guide 2006



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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer

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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer


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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer



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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
撮影 白木信生
第一回夏羽                                     first summer












My photos
こちらは私のカス画像(苦笑) 
一応私も見る事ができたという証拠画像です。
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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
Nobuhiro Hashimoto
第一回夏羽                                     first summer



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キリアイ
Limicola falcineollus sibirica
2008年5月25日
Nobuhiro Hashimoto
第一回夏羽                                     first summer





Limicola falcinellus  キリアイ
Broad-billed Sandpiper1
Broad-billed Sandpiper2
by shorebirds-waders | 2008-07-01 13:17 | キリアイ Broad-billed Sa | Comments(4)
Commented by 鳥平 at 2008-07-05 10:39 x
shorebirds-wadersさん、こんにちは。

キリアイ第一回夏羽、とても興味深く拝見しました。少ないながらも見れるチャンスはあるんですネ。来春こそ、がんばってみたいと思います。
shorebirds-waders さん撮影の画像も、なかなかなもんですよ。けっして、カスじゃないです。
Commented by shorebirds-waders at 2008-07-06 00:15
鳥平さん
こんばんは!
キリアイ念願でしたから非常に嬉しかったです!
しかも1sとわからる画像もお借りできたので、日本のシギチファンの方々には非常に興味深くて、価値あるものと信じています!笑
そちらではチャンスがあると思いますので是非よろしくお願いします!

私の画像はやっぱり駄目ですよ~大汗
Commented by kenzou at 2008-07-13 20:20 x
キリアイの夏羽ですか.
 昔(1991年5月6日~11日までの6日間),自宅近くの干潟に夏羽のキリアイが滞在したことがありますが,春の渡りに遭遇したのは,これっきり.
 当時,この様な第1回夏羽の詳細な情報でもあれば,見方は全く違っていたことでしょう.
 今度はしっかり見るぞ…とは言っても,チャンスは奇跡的に近い.
 でも,見たいですねぇ.
 
 
Commented by shorebirds-waders at 2008-07-15 00:04
Kenzouさん

キリアイの夏羽見られたことがあるんですね!結構ベテランバーダーでも意外と夏羽は見ていない人がおられますのでやっぱり稀少ですね。
春にイレギュラーでくる個体は若い可能性があると思います。
今度見つけたら教えてくださいね!笑
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